高品質なデザインを素早く安定して提供できる理由

デザインやアートディレクションの仕事は、限られた期間、予算、そしてゲーム仕様に基づいたさまざまな制約の中で、結果を出さなければなりません。そこで求められるのは、高品質なデザインを素早く、安定して提供することです。私は、以下の考え方で取り組むことで、これを実現しています。

①多様なデザインを知り、アイデアの地図を広げる

デザインに取り組む際は、多くの作例から学び、ヒントを得ることが欠かせません。その中でも私は、さまざまな方向性の「極端な例」を知ることを大切にしています。

例えばキャラクターデザインなら、子供でも描けるほどにデフォルメされたスタイルから、大人でも恐れを抱くようなダークでグロテスクなスタイル。また、限界まで要素を削ぎ落とされたミニマルスタイルから、過剰なほどに装飾的で派手なスタイルなどです。

これを実践することで、まるでアイデアの地図が広がるように、表現の幅が拡大しました。その結果、クライアントが求める適切なバランスを素早く見つけられるようになり、どんな仕事にも対応できる柔軟性が身につきました。

②大胆にやり過ぎてから最適解へ調整する

もう一つ、私が実践しているのは、「やり過ぎ」なくらい大胆なアイデアを試すことです。このアプローチが、正解に効率よく近づけると考えています。

例えば、「大きな武器を持つキャラクター」というテーマのとき、通常であれば武器のサイズを身の丈の2倍程度にするところを、思い切って10倍まで大きくしてみます。

このように、あえてやり過ぎることで、早い段階でデザインの限界を知ることができます。あとはそこから引き戻すようにして適切なバランスを探ります。この方法を取れば、少しずつアレンジを加えていく方式よりも、最終的な着地点に早く到達できるのです。

失敗は学びのチャンスと言いますが、これを逆手に取り、あえて最初に大胆な挑戦をして失敗し、そこからトーンを抑えて調整する。この「極端から中庸へ」の流れが、時間を節約し、質の高いアイデアを生み出します。

極端さを知って審美眼を養う

私は、「極端であることこそが安定につながる」と信じています。極端なデザインを知り、大胆に試すことで審美眼が磨かれ、適切なディレクションが実現します。

例えば、同じ中間地点でも、「+1と-1の間」よりも、「+100と-100の間」のほうが、より深みがあります。極端な両端を知ることで、バランスの取れた審美眼が育ち、安定した判断が可能になります。

私のアイデア生成は、多様な知識、大胆な挑戦と調整、安定した審美眼で成り立っています。この方法で、クライアントの期待を超えるデザインを生み出し、プレイヤーを楽しませることを目指しています。